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禁煙外来

禁煙外来とは

禁煙外来は、「タバコをやめたいけれど、なかなかやめられない」という方に対して、医師が医学的に禁煙をサポートする外来です。
喫煙習慣には、意思の強さだけではなく、ニコチン依存が深く関わっています。
そのため、自己流で禁煙しようとしても、イライラ、集中しにくい、強い喫煙欲求、眠気、落ち込みなどが出て、禁煙を続けることが難しくなることがあります。

当院では、喫煙が健康に与える悪影響を重視し、禁煙を希望される方に対して禁煙外来を行っています。
禁煙補助薬の使用、生活上の工夫、再喫煙を防ぐためのアドバイスなどを組み合わせ、患者様が無理なく禁煙を続けられるようサポートします。

「何度も禁煙に失敗している」「家族に禁煙を勧められている」「健康診断で異常を指摘された」「心臓や血管の病気が心配」という方は、お気軽にご相談ください。

喫煙が健康に及ぼす悪影響

タバコの煙には、ニコチン、タール、一酸化炭素をはじめ、多くの有害物質が含まれています。

ニコチンは強い依存性を持つ成分で、タバコを吸うと一時的に落ち着いたように感じますが、時間がたつと再び吸いたくなる状態を引き起こします。
また、血管を収縮させ、血圧や心拍数を上げるため、心臓や血管に負担をかけます。

タールには多くの発がん性物質が含まれ、肺がんをはじめ、口腔、咽頭、喉頭、食道、胃、膵臓、膀胱など、さまざまながんのリスクを高めます。

一酸化炭素は、血液が酸素を運ぶ働きを妨げます。
そのため、体が酸素不足になりやすく、心臓はより多くの血液を送り出そうとして負担が増えます。

さらに、喫煙は血管の内側を傷つけ、動脈硬化を進める大きな原因になります。
また喫煙の健康被害は、ご本人だけにとどまりません。
受動喫煙により、ご家族や周囲の方の心臓病、脳卒中、肺がん、喘息、乳幼児の健康被害などのリスクも高まります。

喫煙が引き起こしたり、悪化させたりする疾患

喫煙は、全身のさまざまな病気の発症や悪化に関わります。
特に以下のような疾患・症状に注意が必要です。

  • 狭心症
  • 心筋梗塞
  • 脳梗塞
  • 脳出血
  • 動脈硬化
  • 高血圧
  • 不整脈
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  • 慢性気管支炎
  • 肺気腫
  • 気管支喘息の悪化
  • 肺がん
  • 喉頭がん
  • 咽頭がん
  • 口腔がん
  • 食道がん
  • 胃がん
  • 膵臓がん
  • 膀胱がん
  • 糖尿病
  • 脂質異常症
  • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
  • 歯周病
  • 骨粗しょう症
  • 妊娠・出産への悪影響
  • 免疫力の低下、感染症の悪化
  • など

禁煙治療について

禁煙治療では、喫煙状況、ニコチン依存の程度、禁煙への準備状況、これまでの禁煙経験、持病や服用中のお薬などを確認し、一人ひとりに合った方法を考えます。

禁煙補助薬を使うことで、離脱症状や喫煙欲求をやわらげ、禁煙を続けやすくすることができます。

禁煙治療の対象となる方

以下のような方は、禁煙治療の対象となります。

  • タバコをやめたいと思っている
  • 何度も禁煙に挑戦したが続かなかった
  • 禁煙するとイライラや集中力低下が強い
  • 朝起きてすぐにタバコを吸いたくなる
  • 喫煙本数が多い
  • 家族や周囲の方から禁煙を勧められている
  • 高血圧、糖尿病、脂質異常症がある
  • 狭心症、心筋梗塞、脳卒中などのリスクが心配
  • 咳、痰、息切れが続いている
  • COPDなど呼吸器疾患を指摘された
  • 手術や妊娠、健康診断をきっかけに禁煙したい
  • 加熱式タバコや電子タバコを含め、ニコチン摂取をやめたい
  • など

保険適用の条件

禁煙治療は、一定の条件を満たす場合に保険診療で受けられます。
条件としては以下のようなものがあります。

  1. ①ニコチン依存症に係るスクリーニングテスト(TDS)で5点以上、ニコチン依存症と診断された方
  2. ②35歳以上の場合、ブリンクマン指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上の方
  3. ③直ちに禁煙することを希望されている方
  4. ④「禁煙治療のための標準手順書」に則った禁煙治療について説明を受け、当該治療を受けることを文書により同意された方

禁煙治療で用いられる薬剤

バレニクリン(禁煙補助薬)

バレニクリンは、脳のニコチン受容体に作用し、タバコを吸いたい気持ちや離脱症状をやわらげる薬です。
また、喫煙したときの満足感を弱める働きもあります。
通常は禁煙開始予定日の1週間前から内服を開始し、徐々に用量を増やしながら一定期間服用します。
吐き気、不眠、頭痛、眠気、気分の変化などが出ることがあります。
車の運転や危険を伴う作業、精神症状の変化には注意が必要です。

ニコチンパッチ

ニコチンパッチは、皮膚に貼ることで少量のニコチンを体内に吸収させ、禁煙時のイライラ、集中しにくさ、強い喫煙欲求などをやわらげる薬です。
タバコに含まれるタールや一酸化炭素を吸い込まずに、ニコチン離脱症状を軽減できることが特徴です。
通常は1日1回、上腕や背中、腹部などに貼り、一定期間ごとに用量を減らしていきます。
貼った部分のかゆみ、赤み、かぶれ、不眠などが出ることがあります。
喫煙しながら使用するとニコチンを過剰に摂取する可能性があるため、使用方法を守ることが大切です。

ニコチンガム

ニコチンガムは、タバコを吸いたくなったときに噛み、口の粘膜からニコチンを吸収させる禁煙補助薬です。
急な喫煙欲求を抑えたいときに使いやすい方法です。
普通のガムのように続けて噛むのではなく、ゆっくり噛んで頬の内側に置き、また噛むという使い方をします。
口の中の違和感、のどの刺激、胃の不快感、しゃっくりなどが出ることがあります。
入れ歯の方や顎関節に不安がある方は使用しにくい場合があります。

禁煙治療の流れ

一般的な禁煙治療では、約12週間で計5回の診察を行う「標準禁煙治療プログラム」に沿って進めます。

  1. 初診

    喫煙状況、喫煙本数、喫煙年数、これまでの禁煙経験、禁煙したい理由、持病、服用中のお薬などを確認します。
    ニコチン依存症のチェック、呼気一酸化炭素濃度の測定を行い、禁煙開始日を決めます。
    禁煙補助薬を使用する場合は、薬の種類、効果、使い方、副作用を説明します。

  2. 2週間後

    禁煙開始後の状況を確認します。
    喫煙欲求、イライラ、眠気、集中力低下、体重変化などを確認し、困っていることに対して具体的な対処法を相談します。
    薬を使用している場合は、効果や副作用も確認します。

  3. 4週間後

    禁煙が継続できているか、再喫煙がなかったかを確認します。吸いたくなる場面への対策を見直し、禁煙による体調の変化を確認します。必要に応じて薬の調整や生活上のアドバイスを行います。

  4. 8週間後

    禁煙継続に向けて、気持ちのゆるみや再喫煙のきっかけを確認します。
    「1本だけなら大丈夫」と思いやすい時期でもあるため、禁煙を続ける理由を再確認し、飲酒の場面やストレス時の対策を一緒に考えます。

  5. 12週間後

    治療のまとめを行います。
    禁煙の継続状況、体調の変化、呼気一酸化炭素濃度、今後の再喫煙予防について確認します。
    治療終了後も、吸いたくなる場面が出ることがありますので、吸いたくなったときの対処法などを確認し、禁煙を持続できるようサポートします。